シュンラン(ササユリがナビゲートします)
ひな祭りの3月3日、
湯来では3センチの積雪がありました。
は~るよ来い、は~やく来い♪♪
シュンランのつぼみが膨らんで、
春を待っています。
今では、すっかり減ってしまいまったシュンラン。
昔は、あちこちに咲いていたようで、
花を、吸い物にしたり、ゆがいて酢の物に入れたり、
てんぷらにしたり・・・と、春を楽しんでいたようです。
塩漬にした花は「欄茶」にしていました。
中国大陸に生育する
チュウゴクシュンランの欄茶は
特に香りが高いそうです。
水を使う職業の人は、
「ひび」や「あかぎれ」に悩まされますが、
根をつぶして塗り込むと良く効くそうです。
減った原因はいろいろあるでしょうが、
発芽が困難なことが
拍車をかけたのではないでしょうか。
シュンランにかぎらず、
ラン科の種子は、
顕微鏡で見るほど小さくて、
栄養分(胚乳)がありません。
豊かな森の地表にたまった腐植の中には
多くの種類の菌類が生息していますよね。
ランごとに異なる特定の菌が菌糸を伸ばし、
うまい具合に種子の中に入り込むと、
種子は、菌糸から栄養を補給してもらって
ようやく発芽することができます。
このことがわかってきたので、
高価に販売できるランの仲間では、
「無菌播種」という方法を使って
高率で発芽させることができます。
発芽に必要な栄養分やホルモンを
寒天に添加して試験管に入れ、
高圧・高温で殺菌した「培地」に、
種子を播種して、発芽させる方法です。
発芽したら、
別の栄養分やホルモンの入った
別の「培地」に移して、生育を続けさせます。
違う品種を掛け合わせて
新しい品種を作り出すときには
「無菌播種」法を使いますが、
品質の良い品種があって、
ただ増殖したいだけの時には、
「メリクロン」という方法を用います。
これは、
培地に播種するのではなくて、
ごく小さな穂を
「培地」に挿木する方法です。
園芸店などで販売されるランの多くは、
このような「メリクロン苗」を育てたものです。
ところが、
シュンランでは、
これがうまくいかない!
なかなか大きく育たないのです。
シュンランでは、
種子に菌糸が入り込んで、
うまく発芽しても、
地面の中で、
長年にわたって
菌糸から栄養をもらい続けて、
かなり大きくなってからでないと、
地上に葉が出ません。
無菌播種でも、
試験管の中で4~5年育てないといけません。
花が着くまでは、早くて7~8年かかります。
このようにシュンランの栄養条件は
かなり微妙な収支バランスの上に
なりたっているようです。
シュンランは、
湯来を紹介するブログ
「憩う、楽しむ 広島・湯来通信」
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-yuki/
でも、とりあげておられましたが、
(「三寒四温?」2011年02月16日)
山から取ってきただけでは、うまく育ちません。
花が咲いたら、また紹介します。
見つけたからといって、
むやみに掘り取らないでくださいね。